馬鹿な庶民

これまでのまとめ

まず、これまでの私の主張を箇条書きでまとめておく。

  1. 現代日本で誰にでも、あればあるだけの幸せをもたらすものは金。これが望ましい社会なのかどうかは分からないが、金以外の幸せと言うと「家族」など運に左右されるものしかない。
  2. しかし、悪いことをせずに金持ちになるのは難しく、そうでなくても、収入が高いほど金融所得の割合が上がる。最も儲かる職業が投資家であるというのが現状である。
  3. これでは、善人は幸せになれない、労働は投資に手を出せるだけの金のない弱者が、生活のために仕方なくするもの、という社会になってしまう。
  4. したがって、泡銭を狙い撃ちした金持ち増税によって再分配を行い、真面目に働いて幸せになれる社会にしていくことが必要である。一億総中流社会が理想的。
  5. それに対して金持ちは海外への逃亡をちらつかせ、弱者もそれに同情してしまっており、金持ち増税を主張する人が少ないのが現状である。
  6. しかし、上位層が次々と離脱していけばやがて国が成り立たなくなってしまう。税金の使い道に不満があるなら、正しく使ってくれる政治家を選ぶのが筋である。
  7. よって、海外逃亡や、金持ちにもかかわらずほとんど税を納めなくて済むような節税は悪という社会的合意を形成し、それを法的にも心理的にも防ぐ対策を考えるという方向に進むべきである。
  8. 加えて弱者は公務員や生活保護に嫉妬して自らセーフティネットの破壊を望み、若者は自分が成功できると思って格差社会を望み、馬鹿は「一億総中流は社会主義」と短絡的に考えてしまう。
  9. 一体だれが真の敵なのか、この政治家は本当に我々の味方なのか、どうすれば日本人全体が幸せになれるのかを冷静に考え直す必要がある。
  10. 完全な自由競争社会になると、飛び抜けてNo.1の人以外は必死で働かなければならず、「普通に働いて普通に幸せになる」ことができなくなってしまう。身の程を知ることが大切である。
  11. よって、完全な機会平等は必要だが、その結果得られる収入はごく一部に集中しやすく、泡銭によって更に差が開いてしまうという問題があるので、それを再分配でなだらかにすべきである。

庶民の最大の問題点とは

さて、今まで私の強者関連のコラムを読み通してきた読者ならもうお気付きだろうが、庶民の最大の問題点はずばり、馬鹿だということだ。 想像力がなく無知。 強者のあくどさを想像できず、彼らの実態も知らない。 嫉妬や足の引っ張り合い自体は必ずしも悪いことではない。 大して強くない者同士が足を引っ張り合うのが悪いのだ。 しかし庶民にとって、金持ちは自分の視野にはなく、その狭い視野の中では、公務員が特権階級に見えるのである。 そんな馬鹿な、と思われるかも知れないが、そう考えると色々と納得が行く。

公務員が羨ましいのなら、彼らの何倍も収入を得ている金持ちはもっと羨ましい筈だ。 金持ちが羨ましくないのなら、公務員なんてもっと羨ましくない筈である。 いくら「程々の収入があれば良い」と思ったとしても、金はありすぎて困ることはないし、がんの治療とか子供の学費とか、大金が必要になるケースはいくらでもあるのだから、「程々の収入に近ければ近い程嫉妬」みたいなおかしなことには、普通はならない。 ではどうしてこんな変なことになってしまっているのかというと、彼らは公務員が諸悪の根源だと思っており、真に嫉妬すべき金持ちの実態を知らないからだ。 威勢良く公務員をバッシングする政治家に騙されて、「対応の悪い役所の職員」という公務員のイメージとマッチして、彼らに投票してしまう。 背後で、彼らよりもよっぽど悪いことをして金儲けをしている奴らが笑っていることに気付かない。 金持ちの実態を知りたかったら、「ゆかしメディア」あたりを読んでみることをお勧めする。 完全に強者視点で、私募ファンドとか節税とか、奴らが日頃何を考えているのかがよく分かり、腹が立つこと請け合いである。

実は、金持ちの実態を知っていたとしても、馬鹿な庶民は彼らに嫉妬するだけの実感が湧かなかったりする。 時々、テレビで金持ちが豪邸や豪華な私生活を自慢する番組があるが、なぜ庶民があんな番組を見続けることができるのかがだんだん分かってきた。 普通の人なら、フラストレーションのあまり耐えられなくなる筈である(と言っても、金持ちの実態を調べる為には最後まで見ざるを得ないのだが)。 しかも、テレビに出演するような金持ちなんて、大抵大して社会に貢献していない奴らばかりで、それで労働や消費の意欲が湧く訳でもなく、叶姉妹やデヴィ夫人のように、「金持ちであること」だけが売りの奴らもいる。 これは何かがおかしい。 ところが庶民にとっては、もはや金持ちは自分の思考の及ぶ範囲外なのである。 ドラマやアニメの中の人と同じで、別世界の人間なのだから、嫉妬も何も起こらないのである。 強者増税しても、奴らを懲らしめているという実感が湧かないが、公務員の人件費削減なら実感が湧く。 だから後者を選んでしまう。

感情任せになってしまうと、生活保護や被災者が特権階級に見えてしまう。 「原発周辺自治体への交付金は、政治家や電力会社による国民の分断工作だ。騙されないようにしよう」と思うことができない。 正社員と非正社員、高齢者と若者など、本来は団結すべき所を、権力者に対立を煽られ、それにまんまとはまってしまっている。 今「団結せよ」と書いたが、こう言うと、これまた頭の悪い庶民は「それは共産主義か」と猛烈に拒否してしまう。 「正社員と非正社員を分けたのは、経営者による労働者の分断工作だ。騙されないようにしよう」と思うことができない。 確かに目の前の正社員には腹が立つかも知れないが、その背後で笑っている経営者や投資家を想像しなければならない。 頭が悪い庶民には、それができない。

それなら成功すれば良いのかというと、橋下徹のように「苦学した人ほど、却って同じ境遇の人に冷たい」傾向がある。 悲しいことに育ちが悪い人は、成功しても失敗しても、優しい人にはなれないことが多いのだ。 「下を見ず上を見る」と言っても過去は変えられないから、彼らにとっては、これから生まれてくる人で苦学する人を増やすしか、平等化をいくらかでも達成する方法がないのだ。 麻生や鳩山は例外として、寧ろ金持ちの息子の方が、自分は恵まれているおかげで今の立場にあるということを自覚しているから、思いやりのあることが多い。 庶民の親が「学費は自分で稼げ」なんて格好良いこと言っても、その一方で金持ちの親は惜しみなく子供に教育費を注ぎ込んでいる訳で、現実には階層を固定させる結果にしかならず、殆どの場合その親は単なる教育無関心で、「学費は自分で稼げ」という発言は、ただそれを露見させるものに過ぎない。 親の年収が450円未満の東大生が10数%いたからといって、その一方で過半数が950万円以上という現状に問題がない訳ではない。 「努力すれば良い」と言うが、金持ちの息子だって努力している。 努力の上限が同じなら、そこから先はやはり親が教育にかけられる金が物を言う。 その結果がこれだ。 こんな状況で、年収が努力を反映している訳がない。

いくらグローバリゼーションと言っても、ここまで強者優遇庶民いじめが進むのは、やはり馬鹿な庶民の方にも原因があると言わざるを得ない。 正直ここまで庶民の頭が悪いと、この状況に気付いた賢い庶民にだけ、ロバート・キヨサキの言うように、投資でもして庶民から抜け出してもらうことにして、後の馬鹿な庶民は和田秀樹の言うように切り捨てて、一生庶民同士で足を引っ張り合ってもらっていた方が良いのかも知れない。 とすると、日本社会は「闇の勢力」「気付いた人」「馬鹿」の三層からなるという、まるでネット右翼の世界観みたいなことになってしまう。 そんな社会が良いとは、絶対に思わない。 勉強嫌いの子供に無理矢理勉強をさせなければならないように、できる限り強者の横暴さを庶民に知らしめていくべきだし、当サイトで気付いてくれる人が1人でもいれば、これ程幸いなことはない。

最後に

野田佳彦が消費増税に命をかけるとか抜かしたり(命をかけるべきは強者増税だ)、大手マスコミが軒並み消費増税賛成だったり、橋下徹がフラットタックスを言い出したり、いよいよ強者優遇庶民いじめが極限に達しようとしている。 「無駄遣いを止めれば消費増税もやむを得ない」という人が多いが、何とお人好しなことか、それとも単なる無知か。 強者増税すれば消費増税しなくて済むと言っているのではない。 順番が違うと言っているのだ。 次の総選挙では自民・民主・維新、どれが勝っても庶民にとって良い事がない。 もう、日本は終わりだ。

東日本大震災で「絆」「助け合い」などと美化されているが、政治の力で支援をするとなると、途端にそれが嫉妬の対象になってしまう日本人。 ネットが大手マスコミを補完するかと思いきや、被災者やら生活保護やら、もっとつまらない所で足の引っ張り合いをしてしまう日本人。 愛国心もノブレス・オブリージュもなく、買収・脅迫・詭弁・分断工作・スケープゴート作りなど、金儲けのためなら手段を選ばない日本の金持ち。

「強者増税されると働く気が失せる」と言うが、年収が億単位になるともはや使い切れないし、努力で年収が増えたり減ったりするような領域ではなくなる。 大体、それを言うならまずワーキングプアの待遇改善が先決だろうが。 海外市場しか見ていない経営者にとっては、日本人の購買力がなくなってもどうでも良いのだろうが、日本は価格では国際競争に勝てず、「日本」というブランドで勝負するしかない。 労働者の働く気が失せて製品の質が落ち、加えて一億総中流のイメージが崩壊してしまえば、日本製には何の取り柄もなくなってしまうのである。 尤も、これは長いスパンでの話。 今の経営者は、このような状況が続いて日本人の購買力がなくなる頃にはもう生きていないから、そこまで考えていない。 自分が引退するまでの間に金儲けができればそれで良いと思っている。 だからこそ、強者こそが「諸悪の根源」であり「人間の屑」なのである。 いい加減に気付け、真の敵は「強者」であることに。

2012年4月7日 救世主かける様(http://gumin.xxxxxxxx.jp/)

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